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私たちが持っている未開発の潜在能力、人間の持っている一般的な性質について、ちょっと考えてみましょう。私たちは有り余るほどの多くのチャンスに恵まれた豊かな世界で生きています。自分がなりたいと思う人間になる自由があります。では、このような豊かさの中にあって、多くの人々が僅かのことしかできないのはどうしてでしょうか。これは、あまりにも多くの人が自分自身をよく知らず、人間の本性も理解していないからだと言っても、まず間違いないでしょう。
人間は努力し、目標を追求するように作られています。つまり、完全に満足することは決してないのです。人間はただ年を重ね、生き、そして子孫を残すだけでは満足しません。生きることの目的と意義を見いださなければなりません。なぜなら、目的がなければ不満を抱くからです。目標や理想に向かって努力をしているとき、人間は十分に満たされてはいませんが、不満を抱いてもいないのです。この違いを理解していた詩人のロバート・ブラウニングは、「人は手の届かないところにあるものを得ようと努力すべきだ。さもなければ何のために天があるのか」と書いています。
目標を達成し、人生に目的と意義を見出したいという欲望とともに、人はその目標を達成するための手段も与えられています。人はそのニーズに見合った徹底的な潜在能力、つまり未開発の潜在能力を持っています。目的、目標、そして野心が大きくなるにつれて、この潜在能力も大きくなっていきます。自分の未開発の潜在能力を開発し尽くしたという人は、今まで一人もいません。人間の行動を研究している科学者たちの一致した見方によれば、ほとんどの人はその潜在能力のほんの一部しか使っていません。私たちのすべての知識は、人間がこれまでに使ってきたよりもはるかに大きい、無限の才能と能力を持っていることを示しています。
人間が直面する最大の制約は、自分自身が課したものです。ロジャー・バニスターが1マイルで初めて4分を切るまでは、これは人間には不可能だと考えられていました。4分台が架空の壁となっていたのです。しかし、その壁を破れることが世の中に知れ渡るとすぐに、少なくとも20人に上る他の選手たちが次々とその記録を達成しました。人間に潜在している身体的な開発能力の限界を測る方法はありません。ジョギングを経験したことがある人ならわかるでしょうが、最初は1キロから2キロのジョギングでさえ、本当に苦痛です。ところが、段階的な練習スケジュールに従うことによって、すぐに3キロ、4キロ、さらには5キロでも、初めて1キロを走ったときより楽にジョギングをすることができるようになります。忍耐の限界に達するのは、自分の心を閉じた時だけです。あなたの身体的な潜在能力の限界が計り知れないのと同じように、あなたの知的な能力とパーソナルリーダーシップの能力も限界がないのです。
有史以来、人間は自分とは何なのか、人生の目的とは何なのかと問い続けてきました。現在でも人々は同じ問いを発しますが、その答えの大半は一つの単純なアイディアに要約されています。人は誰でも成功の種を宿しているということです。このことからすぐに、成功とは何かという疑問が浮かんできます。自分自身、すなわち満たされることのない本性と未開発の潜在能力について既に学んだことを応用すると、パーソナルリーダーシップ、あるいはその他の面での成功は、自分自身が前もって設定した価値ある目標を段階的に実現することであると言っても、まず間違いないでしょう。
人間は本来、目標を追求し続ける生き物で、完全に満たされるということはまずありえないので、目標の段階的な実現にしか成功を見いだすことはできません。目標を設定するだけでは不十分です。その目標に向かって努力し、それを達成しなければなりません。この目標は、あなたの持っている価値観に合った、あなた自身の目標でなければなりません。これらの目標が常にあなたの関心を引き、その方へあなたを惹きつけるようにするためには、それを前もって設定しなければなりません。そして、価値ある、つまりあなたが最善の努力を払う価値がある目標でなければなりません。あなたの中に眠っている力、あなたの未開発の潜在能力を最大限必要とする目標でなければならないのです。
多くの人が成功を見出せない主な理由は、他の人との比較によって成功を考えるからです。他の人との比較によって成功を評価するのであれば、多くの人を知れば知るほど、自分が成功したとは思えなくなります。人生は大きな失望の連続になってしまうでしょう。一方、たとえ隣人、兄弟、あるいは親よりも成功しているとしても、もし自分の成功達成の力を十分に活かしていなければ、真の成功とは言えません。したがって、有効な比較ができるとすれば、それは自分の潜在能力と自分の現実の姿を比べるしかないことは明らかです。自分の未開発の潜在能力を開発しようと決意し、前もって設定した価値ある目標を段階を追って実現することによる成功の度合いを評価して初めて、成功者となることができるのです。
自分が成功していると感じられないもう一つの理由は、成功を物質的な富と結びつけて考えるからです。そのために、この人たちは自分の最も重要な目標を達成した時でも、それが金銭の蓄積に結びつかなかったという理由で、その価値を割引して考えることがあります。反対に、金持ちになるのは罪悪であるという古い考え方に囚われて、多額の金銭の蓄積を排除する人も少なくありません。このような人たちは、金銭欲は諸悪の根源であるという聖書の考えを誤解していると考えられます。正当な方法で得た富は、成功のシンボルです。労働や役務の代表として富を得たという認識を持つことが大切です。
パーソナルリーダーシップへの準備の第一のステップは、自分が決定的な潜在能力を持っていることを自覚することです。自分の力を知ることが必要です。自分の中に未開発の潜在能力があるという事実を認めることができない限り、その能力を活用することはできません。潜在能力は、それを働かせる努力を怠ると、だんだんと弱まります。反対に、常に働かせていると、潜在能力は次第に大きく開発されて、津波のような大きな力となって現れてきます。こうなると、それは進路を妨げるあらゆるものを押し流してしまいます。パーソナルリーダーシップに欠かせないのは、自分自身を知り、自分の未開発の潜在能力が持つ巨大な力を理解することです。
セルフイメージ、自分の中に眠っている未開発の潜在能力を自覚すると、パーソナルリーダーシップへの次のステップに移ります。これは、目標を達成する上で重要な役割を果たす資質としての確固としたセルフイメージを形作ることです。セルフイメージというのは、自惚れや極端に膨れ上がったエゴではない点に注意してください。セルフイメージは真の自尊心で、未開発の潜在能力の自覚から生まれる自分自身の積極的、肯定的なイメージです。確固としたセルフイメージを形成しなければ、パーソナルリーダーシップで成功する可能性は著しく減少します。自分の作り出すセルフイメージが目に見えない壁になります。自分で自分の限界を設けてしまい、それより高く上ることも、それより先に進むこともできません。無意識に線を引いて、「これより先へは進めない」と自分に言い聞かせているのです。
セルフイメージが消極的、否定的であると、あらゆる決断を無意識に恐怖と疑惑というフィルターにかけてしまいます。自分は才能や能力が乏しく、あまり価値のない人間だと思い込む人は、無意識のうちに大きなことを達成することを拒んでいるのです。皮肉なことに、世の中はパーソナルリーダーシップのほとんどすべての特質を備えていながら、自信だけが欠けている人でいっぱいです。この人たちは自分を卑下し、自分を過小に評価してしまうため、その低いセルフイメージによって、小さいものを試み、さらに小さなものしか得られない、覇気のない人間に落ちぶれてしまうのです。
誰も自分が作り上げたセルフイメージを超えることはできませんが、それを変えることができます。自分自身を信じられ、自分の能力を尊重することができないのなら、自分の目標に対して自信と信念を持つことは不可能です。自分にはできると考えればその通りになります。また、自分にはできないと信じればその通りになります。自分はこういう人間だと思うと、その通りに行動するということは、心理学上の明白な事実です。これが正しいことは、今日の犯罪捜査を見ればよく分かります。犯人が逮捕されるのは、彼らが一定の形で行動するからです。彼らは自分のセルフイメージに合った行動をするため、容易に身元を知られてしまうのです。
自分をダメな人間だと考える人は、成功しようとどれだけ懸命に努力しても失敗してしまうでしょう。偶然、自分自身のセルフイメージを一時的に超えることがあったとしても、すぐに元に戻ってしまいます。一つの例として、プロゴルフツアーについて考えてみましょう。十分食べていけるだけの金は稼ぐけれども、一度も大会で優勝したことのないプロゴルファーがたくさんいます。このようなゴルファーは、最初の2、3日の間は5、6打差でトップに行くことがあっても、その後は無意識に自分のセルフイメージに合わせてプレーをしてしまいます。彼らがスポーツ担当アナウンサーに「全く自分の実力以上のプレーだね」とか、「こんなにできるとは自分でも信じられないよ」とか話しているのを聞くことがよくあります。その通り、彼らはセルフイメージに合わせてスコアを叩き、トップからずり落ちてしまいます。このようなプロゴルファーが徹して優勝できないのは、そのセルフイメージが低すぎるからなのです。
低いセルフイメージは、パーソナルリーダーシップの開発を妨げる消極的、否定的な心構えを作り出し、絶えず心の中の恐怖や疑惑と戦わざるを得なくなります。自分を尊敬できなければ、他人を尊敬できるはずがありません。そして、自分を尊敬できていなければ、他人からも尊敬されることはありません。正しいセルフイメージを維持することが難しいと思われる理由の一つは、一般的に自己愛は間違いだと教えられているからです。たぶんこれは、謙遜についての誤解と、自己愛は利己主義を意味するという考えに基づいていると思われます。世界の偉大な宗教の何の中にも、このような考え方を明示している教えはありません。
人間は神の創造物の中で最高の傑作といえます。聖書によれば、「神はお造りになったすべてのものをご覧になった。見よ、それは非常に良かった」とあります。神が創られたものの中には人間も含まれていました。「あなたの隣人をあなた自身のように愛しなさい」という教えがありますが、これは自分以上にとか、自分の身代わりにとかは入っていません。自分自身と同じように隣人を愛すれば良いのです。人は自分自身を尊敬しなければなりません。そうすることについては、何の言い訳も必要ありません。パーソナルリーダーシップの働きは、確固としたセルフイメージから直接生じるものですから、自分の潜在能力を認識して、あなたが人生で果たす役割の重要性にふさわしいセルフイメージを形成することを覚えなければなりません。
しかし、見せかけだけが積極的、肯定的な考え方を、積極的、肯定的なセルフイメージの代表として使おうとしても、それは無駄なことです。セルフイメージは自分の中から作り上げなければなりません。それでは、セルフイメージを向上させるにはどのようにしたらよいのでしょうか。この答えを見つけることが、このプログラムの基本的な目的の一つです。まず、あなたは自分の発想を転換し、自分に対する心構えを変えなければなりません。あなた自身の重要性を正しく評価し、尊重しなければなりません。あなたほど精巧に作られた存在は他にはありません。あなたの潜在能力は無限なのです。あなたはユニークな存在です。全く同じ人は地球上のどこにもいません。ある人と別の人を純粋に比較する基準はありません。誰でも成長と開化の過程を通じて、世の中に対して他の人が真似ることができない貢献を行うことができます。このように、あなたの自身の力と価値を知ることは、あなたの心の中に安定感という強い砦を築くのに役立ちます。