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生命保険の効果と効用

では、今回は生命保険の受取人固有の財産である事例の二つ目です。お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合の相続の問題です。

夫と妻、そして「私たち夫婦には子供がいません」というご夫婦のパターンです。夫名義の銀行預金は、夫が死亡の場合に誰のものになるでしょうか。夫は例えば銀行に1000万円の預金を持っていたとします。その状態でおっとに死亡ということがありましたということになります。

先ほど申し上げましたように、相続は揉め事が起こりがちですが、公平に行うということになります。配偶者は必ず相続人になります。配偶者が誰とペアを組んで相続をするのかということになるわけです。第一順位は子ども、第一順位の子どもがいない場合は第二順位に行きます。第二順位は両親です。第二順位もいない場合は第三順位、つまり兄弟姉妹です。

例えば、お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合で、夫に死亡ということになった場合、夫の銀行預金は妻がその預金を引き出そうとすると、夫の両親との分割協議が必要であるということになるわけです。たとえば夫の両親、お母さんが認知症であるという場合はですね、認知症のお母さんが分割協議をしないといけないということになるわけですが、認知症のお母さんは分割協議に入ることができません。ということになると、夫のお母さんが死亡するまで夫の預金が引き出せないということになってしまうわけです。

ところが、この銀行預金を生命保険会社に預けておくということになりますと、必ず生命保険は受取人が指定されていますので、妻が受取人に指定されていた場合は、夫にもしもの場合は、この保険会社が支払うこの金額は保険金として相続財産から外れて、妻の受け取り固有の財産となるわけですから、分割協議の対象から外れて、妻はすぐにこのお金を引き出せるということになるわけです。

ですから、お子さんがいらっしゃらないご夫婦の場合ですと、奥さん、旦那さんの名義の銀行預金、財形貯蓄、投資信託、全て夫が死亡の場合、奥さん、あなたの物ではありませんということなんです。それを保険会社に預けておくと、夫の死後の場合に全てあなたの物となりますということになるわけです。

では、お子さんがいらっしゃらないご夫婦が家を買うときの問題です。最近ではよく若いご夫婦も家を買います。「結婚も賃貸ではなくて住宅ローンで買った方がいいじゃないか」ということになるわけです。じゃあ、銀行預金で家を買うわけではなくて、住宅ローンからお金を引っ張ってくることになるわけです。この3000万円の家を買う場合に、夫名義のローンを組むわけですから、家の名義は夫名義ということになるわけですね。

さあ、夫が死亡した場合に、妻はこの3000万円の借金、住宅ローンの3000万円の借金を払うことができなくなるという心配になるわけですね。ところが団体信用生命保険がありますので、3000万円の住宅ローンは生命保険が返してくれるということになりますので、住宅ローンは全て夫の死亡によって消えてしまうということになるわけです。

ところが、この家、この不動産、夫名義の不動産は夫が死亡した場合は夫のプラスの相続財産となっているわけですから、たちまち妻のものとなるわけではないわけです。この不動産は相続財産として、両親と分割協議の対象になるということになるわけです。ですから、お子さんがいらっしゃらないご夫婦が家を買うときの問題は、住宅ローンだけでは足りない、住宅ローンの団体信用生命保険だけでは足りないということになるわけです。

この家、夫の法定相続分、両親が3分の1の法定相続分になりますので、3000万円の3分の1、1000万円の現金を両親に突きつけられると、「奥さん、あなたの物にはなりません」ということになるわけですね。ですから、生命保険として1000万円の保険金が妻に降りていれば、このお金を両親に突きつけて「私の家」ということになるわけですから、お子さんがいらっしゃらないご夫婦が家を買うときの問題は、生命保険が必ず必要であるということになるわけです。

では、こういった事例もありました。普通のご家庭です。私はこの家に生まれ育ちました。もともとご両親と一緒に住んでいました。この方、夫、長男だったんですね。今50歳です。もうこの家には住んでいません。経済的に独立しまして、お子さんもいらっしゃいます。こういうご家庭です。

もともとこの家はお父さんが名義人でした。ところがお父さんが亡くなりまして、この家の名義を「妻に相続させるか、年老いたお母さんじゃなくて、子供名義にしよう」ということになったわけです。金融機関に勤められる50歳を過ぎた男性ですから、「子供の名義にしよう」ということになったわけですね。

今この50歳の方の名義になってますが、この名義人、この名義の家には住んでいません。新しい家族ができて、新しい家に住んでいるわけです。この家に住んでいるのはお母さん一人なんですね。さあ、彼は心配になりました。もし自分が死亡ということになった場合に、この相続人は妻と子供になるわけです。子供は15歳未満でしたので、法定代理人の妻が全て仕切って、相続を進めて、妻が全部自分の名義にしてしまう、こういうことになるだろうということがあります。そうすると、妻は自分が死亡しているわけですから、「お母さん、出ていってください」というような恐れがあるということだったんですね。

そうすると、この名義人の死亡によって、そこに住んでいるお母さんが家を失う可能性があるということですよ。ですので、お母さんがこの家を失っても、新しい家を買うだけのお金がお母さんの手元に残ればいいということになるわけです。

では、彼は言いました。「財形貯蓄、銀行預金があるから大丈夫」。これは駄目ですね。銀行預金、財形貯蓄は相続財産ですから、全て妻と子供の物になってしまうということになります。他に相続人がいませんので、この名義人も銀行預金、財形貯蓄を受け取ることができるということになるわけです。遺族年金はというと、遺族年金は全部配偶者である妻に入ってしまうわけです。相続人ではないお母さんは財産を相続することができませんので、さあ、その時に生命保険金としてお母さんに家を買うだけのお金が入ってくれば、例えば1000万円のお金があれば、この方は「お母さんに一人で住むいい家を買うなら1000万円で大丈夫だ」とおっしゃいました。そうすると、この名義人の死亡によって1000万円のお金がお母さんに保険金として入ってくれば、この1000万円でお母さんは新しい家を買うことができるわけです。

さあ、ここで確認したいのは、必ず人間は家に住んでいます。そうすると、この家の名義は誰ですか。これは確認してみてほしいわけです。そしてもう一つ、そこに住んでいるのは誰ですかということなんです。さあ、名義人の相続人ではない人が住んでいるということになると、その名義人の相続、つまり死亡によって、その人は家を失う可能性はないでしょうか。ここをチェックしてほしいわけですね。

こういった問題のように、相続人、名義人の相続によって、そこに住んでいる人が家を失ってしまうというような場合でも、生命保険が必要になるということになるわけです。